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About|「どこでもない、ここしかない」
大阪を活動拠点に東アジアの関係を描いた「マジック&ロス」、「恋するミナミ」などを制作してきたリム・カーワイ監督の最新作が遂に公開される。アジアからヨーロッパまで大陸を旅し、リアルタイムで各国の政治、生活、文化の変容を見つめ続けたリム監督。2年前、スロベニアとそこで出逢ったゲストハウスの経営者フェルディ・ルッビジ夫妻と仲間たちに魅せられた監督は、最小限のスタッフと再び彼らを訪ね、現地に住む人々と一緒に即興で1本の映画を完成させた。それが究極のドリフト・ムービー『どこでもない、ここしかない』である。
舞台はバルカン半島。イタリア半島の海をはさんだ東側にあたる地域で、旧ユーゴスラビアの国々、スロベニアなど小国が多数存在し、かつては「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれ、第一次大戦勃発の地となった場所である。しかし、歴史的、地理的な事は知られていても、いま現在の人々の暮らしや文化に触れる機会は少ないのではないだろうか。『どこでもない、ここしかない』は、スロベニア、マケドニア、クロアチアの美しい景色を背景に、いまを生きるトルコ系マイノリティの実像を浮かび上がらせながら、普遍的な男女の機微と人間の心理を鋭くも優しく描き出す。
Story|ストーリー
スロベニアの首都リュブリャナでゲストハウスとアパートメントの経営をしているフェデルは、近年の観光と不動産ブームに乗り経済的に成功する。しかし、彼はイスラム教徒でありながら、所有するゲストハウスに宿泊した女性や知人の彼女にも手を出すような男であった。ある日、妻のヌーダンは、フェデルの女癖の悪さに耐え切れず家を出てしまう。やっと妻の大切さに気付いた彼は、マケドニアの田舎町へ彼女を取り戻しにいくのだが― 妻に逃げられた男の物語を軸にバルカン半島に生きるトルコ系マイノリティ社会にまで迫った傑作。
Trailer|予告編
DIRECTOR|監督
リム・カーワイ Lim Kah Wai
映画監督。1973年マレーシア生まれ。大阪大学基礎工学部電気工学科卒業。大学卒業後は通信業界で働くが、その後北京電影学院監督コースに入学。卒業後、2010年北京で「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」を自主制作し、長編デビュー。その後、香港で「マジック&ロス」(2010年)、大阪で「新世界の夜明け」(2011年)、「恋するミナミ」(2013年)を監督。2016年に中国全土で一般公開された商業映画「愛在深秋」(「Love in Late Autumn」)(2016年)を監督する。作品は世界各国の映画祭をはじめ、東京や大阪、ニューヨークのアート系をはじめとする劇場で特集上映された他、日本でも各地で劇場公開される。本作「どこでもない、ここしかない / No Where, Now Here」はバルカン半島で撮影を敢行した初の作品であったが、2018年夏に、再度バルカン半島へ渡り、セルビア、クロアチア、モンテネグロで長編映画7作目「Somewhen, Somewhere」を監督するなど、国籍や国境にとらわれない作品制作を続ける。現在は、大阪3部作の3作目「Come and Go」を準備中。
Filmography フィルモグラフィ:
2010 After All These Years 「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」
2010 Magic and Loss「マジック&ロス」
2011 New World (Shinsekai Story)「新世界の夜明け」
2013 Fly Me to Minami「恋するミナミ」
2016 Love in late autumn 「愛在深秋」
2018 No Where, Now Here「どこでもない、ここしかない」
2019 Somewhen, Somewhere 「いつか、どこかで」(編集中)
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